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2019年1月5日土曜日

【報告】富山御神楽祭りを探訪しました

 本研究所は1月3日、愛知県北設楽郡豊根村富山大谷の熊野神社に伝わる「御神楽祭り」を探訪しました。
 5人が参加し、坂部の冬祭りや奥三河の花祭りとの関係について考えさせられる独特の芸能世界に浸りました。

 御神楽祭りが行われる熊野神社は、1955年に完成した佐久間ダムを見下ろす八嶽山の山麓にあり、1346年の勧請と伝えられています。ダムの完成によって沈んだ他の集落の産土神も祭っており、水没した河内集落にも同様の湯立神楽が伝承されていました。

 祭りの演目は「しめのはやし」から「注連切り」まで25番あります。若干の演目の違いはあるものの、1月3日と4日の二日間にわたってほぼ同じ次第が繰り返されるという不思議な祭りです。

 三遠南信の民俗芸能を語るうえでも重要な存在でありながら、地元の強い意向で国の文化財指定がされておらず、「住民のための神事芸能」として大切に守られています。

 とくに舞に先立ち、社殿裏の斜面にそびえる2本の「天狗杉」に供物を捧げる「天狗祭り」は、一般見物人は近寄ることが禁じられている神秘性がとても印象的でした。

 「どんずく」(獅子舞)を皮切りに繰り広げられる面形舞は、「鬼神」や「祢宜」など厳粛な舞がある一方で、「はなうり」「やしらみふくい」など道化的な演目も多く、見守る地元の人たちが大いに盛り上がっている様子が心に残りました。

写真ギャラリー


熊野神社から見下ろす集落と佐久間ダム

天狗祭りの行列

湯立て(権現の御湯)

花の舞(綾笠の手)
花の舞(剣の手)


どんずく(獅子舞) 獅子にミカンを食べさせる

鬼神

兄弟鬼

禰宜 観客を祓う

しらみふくい

御神供の小豆飯を観客にふるまう