最新のお知らせ

2024年5月26日(日)に2024年度の総会と記念講演会および研究発表会を美博講堂で行います。

2021年3月13日土曜日

【報告】2021年2月例会 粟谷会員、今井会員発表要旨

2021年2月27日に行われた例会には11名が参加しました。

粟谷真寿美会員「明治期松尾小学校の児童議会より―「場の代表」制について」

 松尾小学校は1906(明治39)年から1918(大正7)年まで「級長会議」と呼ばれる児童議会を行っていた。6つの学年(学級)から男女別に正副の級長が出席し、校章の着用ルールや校内郵便の実施、成績表の付け方まで議論した。児童全体では女子の数が圧倒的に少ないため、結果的に教育的利点が女子に多く与えられることになった。

 当時は女性の参政権どころか普通選挙すらない時代である。会議の席順からは男女を区別し男子を優先する無意識の考え方があるように感じられるが、女子も堂々と発言しているさまが写真からもうかがえる。彼女たちには貴重な体験になったことだろう。

 

今井啓会員「飯沼の民俗調査から―飯沼区有文書調査を中心に―」

 昨年3月に飯沼区の郷倉に保管されている区有文書の調査を行った。飯沼の庄屋が触れ元になった「野底山ノ口明け通知状」、明治初期の「飯沼区各戸図」などが興味深い。制作年代不明の「飯沼段丘崖墓地分布図」は、飯沼諏訪神社以南の段丘斜面に作られた各家の墓の位置を示しており、上段と下段をつなぐ複数の道も細かく描かれている。こうした墓地図がなぜ作られたのか、その背景に興味がそそられる。