最新のお知らせ

2024年5月26日(日)に2024年度の総会と記念講演会および研究発表会を美博講堂で行います。

2018年1月8日月曜日

【報告】第1回伊那民俗研究集会

2017年11月25日(土)・26日(日)に飯田市美術博物館講堂で「第1回伊那民俗研究集会 年中行事を考える」が開かれました。研究所会員、一般参加者含め約70人が参加する盛況となりました。


1日目(11月25日)

映像上映「坂部の年中行事」


記録映像上映
午前中は、天龍村坂部の関家と集落の年中行事を丹念に追った記録映像を、製作にあたった櫻井弘人会員の解説で上映しました。

初日開会式

午後から行われた開会式では、主催者として南信州民俗芸能継承推進協議会事務局の秦野高彦氏と、伊那民俗学研究所の松上清志事務局長があいさつ。
南信州広域連合の秦野氏
研究所の松上清志事務局長
内山文世会員による司会進行

基調講演「年中行事の現在」

福田所長の基調講演
福田アジオ所長は基調講演の中で、年中行事の意味を農耕儀礼の観点から明らかにしてきた民俗学の成果を強調するとともに、「依代」「予祝」といった用語に安易に頼ることの問題点を指摘しました。

研究発表

4名が発表を行いました。

北原いずみ会員「南信州の盆行事の移り変わり」

北原会員
北原いずみ会員は、飯田市を中心とした盆行事を地域的・歴史的に比較し紹介しました。

櫻井弘人会員「年中行事における民俗連鎖」

櫻井会員
櫻井会員は、天龍村坂部や阿南町新野などの年中行事を調査・記録した成果をふまえ、正月の門松がさまざまな季節・機会に再利用されている事例を紹介、その意味を探りました。

倉石あつ子氏「長野県の特色的行事」

倉石氏
元跡見学園女子大学教授の倉石あつ子氏は、長野県内における年取り魚の地域差などについて報告しました。

板橋春夫氏「年中行事の記録と記憶」

板橋氏
日本工業大学教授の板橋春夫氏は、正月飾り「ハチジョウ」を切り口に、中世越後の史料と奥三河地方の事例とを比較、分析しました。


懇親会

舞を披露する岡庭会員と小笠原会員
市内の料亭「千登勢」で開かれた懇親会では、会員らが遠山霜月祭りの舞を披露するなどして場を盛り上げました。料理には五平餅や馬刺しなどの郷土料理も並びました。



2日目(11月26日)


あいさつする勝野阿南町長
朝からの柳田国男ゆかりの地探訪会に続き、2日午前の上映会に先立って勝野一成阿南町町よりあいさつをいただきました。

映像上映「阿南町新野の年中行事」

2017年に製作された記録映像が、携わった櫻井会員の解説で上映されました。

昼食


「祭り弁当」
「三遠南信交流の輪」が企画した「祭り弁当」が30食限定で希望者に販売されました。
「週刊いいだ」の連載記事
会場では、信濃毎日新聞社が発行するフリーペーパー「週刊いいだ」で連載中のコラム「飯田下伊那季節の民俗 いまむかし」が拡大掲示されました。

シンポジウム「年中行事を考える」

シンポジウム「年中行事を考える」
前日の研究発表者から板橋氏、櫻井氏、北原氏がパネラーとして参加。また倉石氏に代わって福澤昭司氏(研究所会員、長野県民俗の会会員)が登壇しました。司会は今井啓会員が務めました。

発言する福澤氏
福澤氏は、旧暦から新暦に移行した明治期の状況を紹介。シンポジウムでは年中行事を研究することの意味や後継者問題、これからの研究のあり方などについて討論が行われました。
会場からも積極的に発言
年中行事の記録撮影に携わったカメラマンや、地元の食育に力を注いでいる住民などからも発言があり、地域ならではの年中行事や郷土食の価値の大きさが再認識されました。
伝承者の立場から発言する関京子氏
多くの参加者に恵まれ、充実した集会となりました。ご参加・ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。

集会の様子は、所報「伊那民俗」111号でも宮下英治会員が報告しています。