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2022年8月22日月曜日

伊那民研叢書7『柳田國男『信州随筆』を読む』好評頒布中です

  本研究所内の有志でつくる部会、柳田国男研究会では、柳田が自著の初版本としては唯一地方で出版した『信州随筆』(1936 山村書院)の読解に長年にわたって取り組んできました。小川所長の指導のもと、その成果をまとめたのが伊那民研叢書7『柳田國男『信州随筆』を読む』です。

 柳田は『信州随筆』の中で信州人に向け、自ら仮説を立て実証していく「実践の学問」の重要性を訴えました。「信濃柿」「なんじゃもんじゃ」「御頭(おとう)の木」といったキーワードを手がかりに「疑問」を提示し、古今の事例を縦横無尽に引きながら大胆な仮説を展開する「実践」を行ってみせ、その「実証」を読者に託しました。この随筆で柳田が扱った分野は諏訪信仰、祖霊信仰、巫女論、年中行事、口承文芸など多岐にわたります。

 本書では、研究会員および小川所長が各章を担当し、柳田が何をどのような意図で取り上げ、どのような道筋・方法で論じようとしているのかを丁寧に読み解きました。

 『信州随筆』は、一流の民俗学者や柳田研究者をもって「一筋縄ではいかない、難解な本」(野本寛一氏)、「何度も途中で挫折した苦手本のうちの一冊」(小田富英氏)とまで言わしめた書です。柳田が信州に残した巨大な知の山脈を前に、一般市民である私たちがどのように格闘したのかを、この叢書でお確かめください。



A5判132ページ
頒価:1000円
ISBN978-4-9908692-6-7 C1039

■目次
序 章 「問いの学問」の発信(小川直之)
第一章 信濃柿のことなど(片桐みどり)
第二章 しだれ桜の問題(寺田一雄)
第三章 なんじゃもんじゃの樹(和泉悦子・松上清志)
第四章 御頭の木(片桐みどり)
第五章 矢立の木(伝説と習俗)(湯澤孝一・北原いずみ)
第六章 青へぼの木(折山邦彦・宮下英美)
第七章 地梨と精霊(中村健一・松上清志)
第八章 眠流し考(松上清志)
第九章 犬飼七夕譚(宮下英美)
第十章 『山郷風物誌』(片桐みどり)
第十一章 『木曽民謡集』(小林多門・松上清志)
第十二章 新野の盆踊り(小川直之)
第十三章 信州の出口入口(北原いずみ)


購入方法は出版物のページをご覧ください。