最新のお知らせ

2024年5月26日(日)に2024年度の総会と記念講演会および研究発表会を美博講堂で行います。

2016年12月23日金曜日

研究所活動予定(~2017年3月)

2017年3月までの当研究所の活動予定をお知らせします。
所報107号の8ページに掲載した案内を掲載しますのでご利用下さい。
探訪会や講演会などについては、詳細が決まり次第随時お知らせいたします。
拡大画像はアルバム表示時の左クリックで「別タブで画像を開く」「画像だけを表示」等を選択してください

2016年12月22日木曜日

第5期民俗学入門講座第2回を開催しました

福田所長の講義
2016年12月17日(土)、第5期民俗学入門講座「現代日本を民俗学から考える」第2回「家族の変化・先祖の変化」が柳田國男館で開かれました。
戦前の日本の家族観は、家長(戸主)の権限を重視する明治民法の影響が強く、柳田が確立した1970年代以前の民俗学も例外ではなかったこと。
一方で近年は死者の「個性」が持続して「ご先祖様」に統合されないケースが増えたこと。先祖の役割・性格も、温かく見守る存在から怒りやすく祟りやすい存在へと変化しつつあること。
「おひとりさま」の増加など、家族の形はつねに変化し続けていること―などを福田所長は指摘し、夫婦を中核とした家族の形勢と消滅が安定的に行われる条件の創出が求められている、と展望しました。
北原会員
会員発表では、片桐みどり会員が葬儀や墓をめぐる身近な事例を挙げ、跡継ぎの不在が深刻化している現状を指摘しました。
また、北原いずみ会員は、死者が続いた際に槌を身代わりとして葬る「ツチヒキ」の民俗事例を紹介しました。

次回の講座は2017年1月21日(土)18:00より柳田館で開催します。
テーマは「現代の商品流通と民俗」。スーパーやコンビニなどが年中行事などをどのように販促に利用しているか、それが実際の民俗にどのような影響を与えているか、といった内容になるかと思われます。ぜひご参加ください。

2016年11月22日火曜日

第5期民俗学入門講座と第3期ゼミナールが開講しました


福田アジオ所長による第5期民俗学入門講座「現代日本を民俗学から考える」と第3期入門ゼミナール「伊那の現代生活に民俗を考える」が11月19日(土)から始まりました。



参加者が自由に発言した入門ゼミ

 15:30から柳田館2階学習室で行われたゼミには、第2期からの継続参加者のほかに新たに3人が加わりました。自己紹介ののち、これまでのゼミで取り上げられた伊那谷の民俗を中心に、参加者が日頃の生活の中で不思議に思っていることなどを自由に発言し、各自がどのようなテーマで研究したいかを模索しました。
話題に上ったのは「無尽」「山行き」「花火」「盆踊り」など。次回はそれぞれが考えた研究テーマを発表することになりました。

18:00から1階の柳田記念室で行われた入門講座は、25人が聴講。「3.11以降の社会と民俗学」をテーマに講義が行われました。

福田所長の講義


福田所長は、東日本大震災後に「絆」という抽象的な言葉がメディアなどを通じて盛んに流布されたことについて、「コミュニティとは何か、震災前の地域社会はどのようなものだったのかをきちんと把握しようとする動きがない」と指摘。一方で弱者やマイノリティを排除するのが当たり前という空気が広がりつつあることに危機感を示しました。
また震災の復旧・復興にあたり、民俗学は資料レスキュー以外には積極的な関与ができなかったとし、ハード中心の復興事業にソフトを組み込む分野で民俗学が貢献できるのでは、と提言しました。

続いて研究所の高橋寛治会員が、飯田下伊那の若者たちにも生活や価値観の変化が見られることを報告。社会や環境への貢献に関心が高く、農山村に住みながら農業などの実践を行っている若者たちの声を紹介し、これからの農山村にも可能性があることを強調しました。





高橋寛治会員の発表 

第2回のゼミおよび講座は12月17日(土)に開催します。

2016年9月24日土曜日

【お知らせ】2016年度入門講座・ゼミナール(11月~)

 福田アジオ所長による第5期入門講座と第3期ゼミナールを2016年11月から2017年4月まで、それぞれ全6回の日程で開催します。

 今期のテーマは「現代日本を民俗学から考える」。内容の詳細は「講座・講演会」のコーナー【→こちら】に掲載しています。 ぜひご参加ください。

【終了しました】柳田國男館国登録有形文化財記念講演会等を開催します(10/23)

文化庁の文化審議会は本年7月、柳田國男館を国登録有形文化財にふさわしいと答申しました。
これを記念して、本研究所と飯田市教育委員会は2016年10月23日(日)、ゆかりの地をめぐる見学会と、記念講演会を開催します。

見学会

柳田家ゆかりの地や周辺の国登録有形文化財などを巡ります。
日時:10月23日(日)10:00~12:00
集合場所:春草公園(飯田市仲ノ町)


旧飯田測候所、柳田邸跡、追手町小学校などを見学しながら柳田館まで歩きます。
 予約不要、参加費無料。
 歩きやすい支度でご参加ください。

記念講演会

日時:同日13:30~
会場:柳田國男館

講師とテーマ:
福田アジオ所長 「柳田國男館の民俗学史上の価値と今後の活用」
吉澤政己氏(信濃建築史研究所) 「市内丘の上にある登録有形文化財の価値と活用」

予約不要、聴講無料。

2016年5月25日水曜日

【募集】探訪会「下伊那西部から奥三河への旅」【終了しました】

 2016年度第2回の探訪会として、柳田国男研究会と近代思想史研究会の合同フィールドワークを下記のとおり開催します。
 一般の方の参加も歓迎ですので、お気軽にお問い合わせ・お申し込みください。

■期日

6月18日(土) 少雨決行


■目的

下伊那西部から奥三河地方の民俗や近代思想がどのように育まれてきたのかを、その地で実際に見たり、触れたりすることによって体感し、これまで学習したことを確かめるとともに、地域づくりのあり方を考える。

■スケジュール

飯田市美術博物館第3駐車場
集合  7:20
出発  7:30
トンキラ農園(阿智村)  8:10~
月瀬の大杉(根羽村)  9:20~
古橋懐古館(豊田市) 10:30~
稲武郷土資料館(豊田市) 11:40~
 昼  食 12:40~
奥三河郷土館(設楽町) 14:00~
茶臼山高原美術館(豊根村) 15:30~
道の駅信州新野千石平(阿南町) 17:00~
飯田市美術博物館着・解散 18:10

※時間はあくまで目安です。

■参加費

 実費(昼食、保険、交通費、資料代等)

■持ち物

 帽子、飲み物、雨具、カメラ、参加費など

■その他

参加申し込み状況に応じて交通手段(マイクロバス等)を決定します。
定員に達し次第締め切りますので、お早めにお申し込みください。


■問い合わせ・申し込み

 Tel.080-5108-7487(松上)
inaminken@gmail.com

【写真集】野本寛一先生文化功労者顕彰祝賀会スナップ

お祝いの言葉を述べる出席者の皆さんの表情や、祝宴の様子をスナップ写真でお伝えします。




















【報告】2016年度総会、記念講演会、文化功労賞受彰祝賀会が行われました

2016年5月22日(日)、飯田市美術博物館講堂で当研究所2016年度総会と櫻井弘人氏による会員研究発表、2015年度文化功労者に選ばれた野本寛一前所長の記念講演会が行われました。
終了後には市内で野本先生の文化功労者顕彰祝賀会が開かれました。

伊那民俗学研究所総会

福田所長あいさつ
総会では前年度の事業報告および会計報告、新年度の事業計画および予算が原案どおり承認されました。
新年度事業としては、『伊那民研叢書』第2集の刊行、飯田・上飯田の民俗調査、所報合本版の作成、ホームページの独自ドメイン取得の検討などが主な内容です。

会員発表


櫻井会員
恒例の記念講演会に先立ち、櫻井弘人会員が「三遠南信地域のシカウチ神事と諏訪信仰」をテーマに発表。諏訪大社でかつて行われていた草鹿狩の行事は御狩の「もどき」であり、鹿は穀霊が宿る聖なる獣であるとの観念が強かったこと、こうした諏訪信仰が三遠南信地域に残されたのが現在のシカウチ神事である可能性を高いことを指摘しました。

記念講演会


野本寛一前所長
記念講演会では、前所長で昨年文化功労者に選ばれた野本寛一近畿大名誉教授が「民俗の振幅」と題して講演。
「日本の雪国には二つの春がある」とした柳田国男の指摘(「雪国の春」)をいとぐちに、「春」の訪れを実感させる話者の言葉や民俗事例を多数紹介。丹念な調査を通じて厳しい環境に生きる人々の実感を理解することの大切さを説きました。



講演の様子を伝える信濃毎日新聞の記事(5月23日)

文化功労者顕彰祝賀会

講演会終了後、近くの料亭「舞鶴」にて総会懇親会を兼ねて野本前所長の文化功労者顕彰祝賀会が開かれました。元調査員や話者など30人が駆けつけてお祝いするとともに、所長時代の思い出話などに花が咲き親交を温めました。


お祝いの言葉を述べる福田所長

お祝いの品を贈呈

あいさつする野本前所長

定宿だったホテル吉村様からは生花も寄せられました

原田望氏の音頭で乾杯

万歳三唱

記念撮影

79歳となった今でも精力的に調査・執筆活動をなさっている野本先生の姿に、出席者一同あらためて感銘を受け、叱咤激励される思いの一日でした。

2016年5月22日日曜日

【報告】大河内シカオイ行事探訪会

先月開催した天龍村大河内の「シカオイ行事」探訪会の様子をお知らせします。
今回は12人が参加。車3台で現地に向かいました。


「コシキ」と呼ばれる神送りの神輿を作る作業

大河内の集会所を訪れると、地元のみなさんは準備作業の真っ最中でした。
藁鹿や神送りのコシキの製作の様子を見学したのち、昼食は「おきよめの湯」レストランへ。


据えられた藁鹿を撮影する探訪会メンバーら
昼食後、行事が行われる池大神社へ。
シカオイ行事は同神社の春例祭にあわせて行われます。
社殿で神事が行われたのち、境内でシカオイが始まります。

石垣上の狩人が勢子に鹿を探すよう求めます
小禰宜が狩人役、宮人2人が狩人役を務め、神社境内を大河内全域に見立てて鹿を探し回ります。
狩人が雌雄それぞれに矢を放つ

小豆飯などが入ったはらわたを開くのは子どもたちの役目
オクヨウと呼ばれる菓子投げが終わると、すぐに神社下の愛宕堂前で神送り行事が行われます。村人たちは「コシキ」に米を持ち寄り、小禰宜が神送りの唱えごとをして、コシキを村はずれの「カミバカ(神墓)」に送ります。

神送りのコシキを「カミバカ」で断ち切る
小刀で切ったコシキを墓石の裏に納めて行事は終了。

 探訪会一行はこの後、「お万様」伝説ののこる関之堂と、新野の矢野愛宕神社の桜を見学しました。
 天候にも恵まれ、有意義な探訪会となりました。

2016年3月28日月曜日

【予告】2016年4月9日/探訪会「”大河内のシカオイ行事”を訪ねる」


「大河内のシカオイ行事」を訪ねる


 長野県最南端に位置する天龍村の大河内集落には、木の枝や藁で作った鹿を狩人に扮した村人が射る「シカオイ行事」が旧暦3月3日に伝承されており、国選択無形民俗文化財となっています。
 模造の鹿を射る行事は三遠南信地域に多く分布し、諏訪信仰や農耕儀礼など、さまざまな角度から研究・分析が行われていますが、いまだに謎が多い行事です。大河内のシカオイは神送り行事があわせて行われるのも独特で、人々は昔ながらの貴重な行事を守り続けています。

■期日

平成28年4月9日(土)午前9:20集合

■集合場所

飯田市美術博物館第3駐車場

■スケジュール

美術博物館出発 9:30
大河内集会所着・準備作業を見学 10:45~
昼食(おきよめの湯) 12:00~
行事見学(池大神社) 13:00~
集落探訪(お万様墓所等) 14:30~
美術博物館着 17:00
※時間はあくまで目安です。

■参加費

実費(昼食、保険、交通費、資料代等)

■持ち物

飲み物、雨具など

備考

・当研究所の紀要23号に掲載されている櫻井弘人会員の論文「三遠南信地域のシカウチ神事と諏訪信仰―鹿の霊性に寄せて―」をお読みいただくと理解が深まります。
 ・2016522日(日)に美博講堂で開かれる伊那民俗学研究所総会では、櫻井会員による研究発表「三遠南信地域のシカウチ神事と諏訪信仰」(1330~)が行われます。ぜひご参加ください(聴講無料)。

■お問い合わせ、お申し込み

柳田國男記念伊那民俗学研究所(美博内)
〒395-0034 飯田市追手町2-655
Tel.0265-22-8118 Fax.0265-22-5252
Mail inaminken@gmail.com

2016年3月25日金曜日

【報告】第4期入門講座が終了しました

第2期入門ゼミ第6回(2016.3.20) 

風邪などにより出席者は3人となりました。平澤健さんが『火災と村の生活』(竹内利美著)について発表。福田所長からは、火事や火事見舞いに注目した民俗研究は例が少なく、研究分野としてはこれからも可能性があることが示されました。
 続いて、受講生が今後の各自の研究課題について発表。「熊谷家伝記と御霊信仰」「下伊那南部地域の餅投げ」「飯田の家庭における焼肉」など、個性的なテーマが発表されました。
 次回のゼミは6月19日(日)に行い、各自が中間報告を行うことになっています。

 第4期入門講座第6回「祖霊から穀霊へ」(2016.3.20) 

 今回の講座の最終回には、19人が出席しました。

講演要旨
戦後の柳田は『先祖の話』で日本の神の本質は祖霊であることを強調し、肉体は滅んでも霊魂は永久に存続する「霊肉分離」が日本人の霊魂観であると説いた。
しかしその後の『海上の道』では、祖霊でも神でもない「穀霊」の存在を認めようとしており、これは柳田が自分の説を転換させようとしていた可能性を示している。また穀霊論の先行研究としてフレーザーや宇野円空の名を挙げており、仮説の出典を無視しがちだったこれまでの姿勢から変化がみえる。
晩年の柳田から学ぶことは、確立期の強固な柳田国男説を崩し、新たな展望を開く契機になるかもしれない。
講義終了後には、皆勤賞のうち4名の方に修了証と福田所長の自著が贈られました。


来年度の第5期講座については、現在運営委員会で検討を行っています。

2016年3月17日木曜日

所報『伊那民俗』104号を発行

 メーン記事は、飯田・上飯田の民俗調査部会員の塚平寛志さんが、飯田お練りまつりの本町三丁目大名行列で「仮粧傘」を務める宮下勝吉さんにインタビューした内容を、話者の語りとしてまとめています。
 飯田お練りまつりは3月25,26,27日の3日間。役者の皆さんがどのようにこの一大祭典に臨んでいるのかを知ることができ、見学に際してとても参考になります。
 104号についての詳細は→こちら

2016年3月10日木曜日

【報告】第4期入門講座・第2期入門ゼミ第5回

第2期入門ゼミ第5回(2016.2.21)

6人が出席。宮下英治さんが「シシと御霊―天龍村大河内を中心に―」(今井啓著)を、熊谷文世さんが「川手・桜井の天伯社祭り」(井上佳誉子著)を取り上げました。本ゼミでは今後各自が論文作成に取り組むこととし、次回はそれぞれ取り組みたいテーマを発表することとなりました。 

第4期入門講座第5回「祭りから祭礼へ」(2016.2.21) 

19人が出席。福田所長は、柳田が日本人の祭りや信仰にどのような認識を持っていたか、折口がそれにどのような影響を与えたのかなどについて解説しました。国家神道に対しては批判的だった一方、あくまで日本の祭りを秩序正しいものととらえ、カオスな側面に対する観点が抜け落ちていたと指摘しました。

 最後に、研究所会員からの「話題提供」として、櫻井弘人会員が「飯田お練りまつりは本屋台が姿を消してから戦前まで"にわか"の要素が強かった」と指摘。また、伊那谷の芸能の特徴について「山間部が宗教者や古老によるもの、平地部は若者によるものが多く、担い手の違いが顕著に見られる」との分析を披露しました。

講義する福田所長

2016年2月21日日曜日

『伊那民研叢書1 民俗学入門』を発刊しました

編集作業を進めていた福田所長著『伊那民研叢書1 民俗学入門』が1月末に完成し、2月上旬に会員に発送いたしました。
頒価900円で、柳田國男館や飯田市美術博物館で販売しているほか、地元書店(平安堂)でも扱っています。
メールでの注文も受け付けています。研究所会員は特別価格(800円)で購入できます(送料別途必要)。

本書は2013年に福田所長の民俗学入門講座第1期として行われた講演をまとめたもので、民俗学の面白さや可能性をわかりやすく解説する入門書となっています。目次等の書籍情報は→こちらをご覧ください。



2月20日付の信濃毎日新聞でも紹介されました。

2016年2月20日土曜日

【報告】第4期入門講座・第2期入門ゼミ第4回

第2期入門ゼミ第4回(2016.1.17)

見学者を含め7人が出席。仙波壽朗さんが「伊那谷の南と北」(向山雅重著)について、 岡庭圭佑さんが「霜月祭りの湯立て―天龍村・富山村の事例から―」(板谷徹著)について発表しました。


第4期入門講座第4回「子どもの神聖性」(2016.1.17)

20人が聴講しました。講義内容は、<柳田は日本で最も早く子どもを学問的に取り上げ、1920年代は信仰を把握する手段として子どもを理解しようとした。1930年代からは郷党教育の重要性を説いた。民俗学では「七歳までは神の子」として子どもを神聖視するのが「常識」になっているが、これは必ずしもきちんと検証されたものではない>―といった内容でした。参加者からは熱心に質問が上がり、活気のある講座となりました。