最新のお知らせ

2024年5月26日(日)に2024年度の総会と記念講演会および研究発表会を美博講堂で行います。

2019年1月19日土曜日

コトの神送り探訪会と2月例会のお知らせ

飯田市千代芋平のコトの神送りを訪ねる


  本年度の伊那民俗研究集会でテーマとなったコトの神送りを準備段階から見学します。
日時:2019年2月9日(土)
集合:午前8時までに美博第3駐車場へ
※美博に戻るのは同日昼前頃になる見込みです。

 参加申し込みは、実施日の1週間前までに当研究所メール(inaminken@gmail.com)へどうぞ。
 参加人数に限りがありますのでお早めにお申し込みください。
 問い合わせは今井携帯(090-1609-8460)へお願いします。

2月例会

日時:2019年2月23日(土)18:00~20:00
会 場:柳田國男館会議室
発 表:宮下英美「毛賀の伝統花火ブドウ棚」
    岡庭圭佑「遠山郷上村のメデタ」

 会員以外の方も自由にご参加いただけます。

小川所長の特別例会「鬼の話を読む」を開催しました

 小川所長による特別例会「折口信夫を読み解く」第2回が1月12日、柳田館書斎で開かれ、約30人が参加しました。
 今回のテキストは1926(大正15)年の講演筆記「鬼の話」です。
 このなかで折口は、古代日本人の神観念にはカミ、タマ、モノ、オニの4つがあるとし、オニは人々に祝福を与える来訪神と、調伏される精霊という相反する二つの性格を内在していると述べています。
 折口のいわゆる「まれびと」論は万葉集の東歌から着想され、沖縄の神事芸能や奥三河の花祭、新野の雪祭などの調査を通じて発展していきました。
 折口は「鬼の話」のなかで、日本人が海から内陸へと居住地を広げるにつれ、「常世」のありかも海の彼方から山の彼方へと変化したことで、カミとオニの境界が曖昧になったのだと説明しています。


 小川所長は、「鬼の話」にさりげなく登場する言葉を一つずつ取り上げ、折口が論拠として想定していた古典知識や芸能、民俗事象について解説。
 一方で、オニの語源は漢語の「隠(オン)」に由来するとの説も有力であることから、折口の「カミ・タマ・モノ・オニ」の4分類は現代の研究者にとって不都合であること、折口は同じテーマを生涯にわたって考え続けるため年代によって論が変化し、どれを彼の説としてとらえればいいのか分かりづらいという批判もあり、鬼についての考え方も例外でないことなどを指摘しました。

2019年1月5日土曜日

【報告】富山御神楽祭りを探訪しました

 本研究所は1月3日、愛知県北設楽郡豊根村富山大谷の熊野神社に伝わる「御神楽祭り」を探訪しました。
 5人が参加し、坂部の冬祭りや奥三河の花祭りとの関係について考えさせられる独特の芸能世界に浸りました。

 御神楽祭りが行われる熊野神社は、1955年に完成した佐久間ダムを見下ろす八嶽山の山麓にあり、1346年の勧請と伝えられています。ダムの完成によって沈んだ他の集落の産土神も祭っており、水没した河内集落にも同様の湯立神楽が伝承されていました。

 祭りの演目は「しめのはやし」から「注連切り」まで25番あります。若干の演目の違いはあるものの、1月3日と4日の二日間にわたってほぼ同じ次第が繰り返されるという不思議な祭りです。

 三遠南信の民俗芸能を語るうえでも重要な存在でありながら、地元の強い意向で国の文化財指定がされておらず、「住民のための神事芸能」として大切に守られています。

 とくに舞に先立ち、社殿裏の斜面にそびえる2本の「天狗杉」に供物を捧げる「天狗祭り」は、一般見物人は近寄ることが禁じられている神秘性がとても印象的でした。

 「どんずく」(獅子舞)を皮切りに繰り広げられる面形舞は、「鬼神」や「祢宜」など厳粛な舞がある一方で、「はなうり」「やしらみふくい」など道化的な演目も多く、見守る地元の人たちが大いに盛り上がっている様子が心に残りました。

写真ギャラリー


熊野神社から見下ろす集落と佐久間ダム

天狗祭りの行列

湯立て(権現の御湯)

花の舞(綾笠の手)
花の舞(剣の手)


どんずく(獅子舞) 獅子にミカンを食べさせる

鬼神

兄弟鬼

禰宜 観客を祓う

しらみふくい

御神供の小豆飯を観客にふるまう