最新のお知らせ

2024年3月23日(土)15:00から柳田館で通常例会「おさま甚句はどこからはよた♪三州振草下田の盆踊り」(宮下英治会員)を行います。

2020年12月20日日曜日

【報告】12月例会 松上会員、寺田会員発表要旨

(2020年12月19日、柳田國男館、7名参加)

 松上清志会員「民俗報告書にみる下伊那の養蚕」

 安定した現金収入が年間4~6回も得られる養蚕は、戦前のこの地方において重要な産業だった。それほど大きな設備投資も必要なく、桑は急傾斜地でも生育する。温度管理、病気の予防、桑の確保など手間のかかるものではあったが、指導員や生産者らの向上心、「お蚕様」に対する農家女性たちの献身がこの地方を養蚕の一大産地に育て上げた。

寺田一雄会員「上殿岡の民俗―居住地区で民俗の変容を考える―」

 私が住んでいる上殿岡(飯田市伊賀良)は中央自動車道や飯田バイパスの開通で住宅地として発展した。民俗的なものとしては、上殿岡の獅子舞や東光庵の観音講、双体道祖神などがある。地区には30を超える隣組があるが、若い世代やアパートの住人は加入せず、加入者が減少している。
 長年にわたって郷土史や民俗の研究調査をしてきたが、一緒にやってきた仲間たちも高齢化している。かつてのような調査活動はできなくなっている今、自らの家庭・地域を見直しながら、一住民として人生を全うすることを考えたい。

2020年12月18日金曜日

信濃毎日新聞で当研究所が取り上げられました

 2020年12月8日の信濃毎日新聞朝刊で、設立30周年を迎えた当研究所が取り上げられました。

松上事務局長と小川所長に取材してこれまでの歩みをまとめ、メンバーの高齢化など課題を抱えつつも、持続可能な地域社会の実現に向けて貢献していこうとする姿勢を紹介してくれています。

30周年記念事業の計画変更を余儀なくされた本年ですが、多くの方に研究所の存在と活動を知っていただく機会になれば、大きな励みとなります。今後とも研究所の活動に皆様のご協力をお願いいたします。



2020年12月5日土曜日

【報告】11月通常例会(9名参加)発表要旨(11月28日)

櫻井弘人会員「三信遠の霜月神楽と天龍川―天龍水系と諏訪信仰―」

  天龍川流域の霜月神楽は、湯立神楽として、水(陰)と火(陽)が合一した湯を重視する。それは生まれ清まりを果たす〝産湯〟でもあり、立ち上る湯気は天空へと続く神橋でもあるのだろう。
 湯立のために数キロ離れた天龍川本流まで赴いて浜水や浜砂を取り、禊を行う例も多い。 諏訪大社上社の「天水」に発し、聖なる諏訪湖から流れ出る天龍川は、まさに聖なる川であり、その水は生命をよみがえらせる若水であった。それゆえに天龍川の水を迎えておこなう湯立神事が重要視されたにちがいない。
 諏訪と熊野・伊勢を結んで往来した宗教者たちは、天龍川の聖水を崇めて、冬至における復活再生を願う霜月祭祀に取り込み、また地域に生きる人びともそれを受け継いだ。全国的にみても大規模な湯立神楽が三信遠地域に伝承されてきた理由は、ここにあると考えられるのである。
(文責:今井啓)

動画はこちら→https://youtu.be/Gpb6ZGn-E4k