最新のお知らせ

2024年5月26日(日)に2024年度の総会と記念講演会および研究発表会を美博講堂で行います。

2017年10月24日火曜日

【終了しました】第1回伊那民俗研究集会と國學院大學雪祭り上映・講演会のお知らせ

【終了しました】第1回伊那民俗研究集会―年中行事を考える―


すでに「講座・講演会」コーナーで予告していますが、2017年11月25日(土)・26日(日)に飯田市美術博物館講堂で「第1回伊那民俗研究集会 年中行事を考える」を開催します。
 この集会は今後、当研究所が主催する事業の柱の一つとして継続していく予定です。
年中行事分野で著名な研究者の皆さんの発表等も行われますので、会員・非会員を問わずぜひご参加ください。

事前申込みは不要ですが、25日夕刻からの懇親会、26日昼の昼食「まつり弁当」をご希望の方は11月18日までにお知らせください。
詳細は講座・講演会コーナーをご覧ください。





【終了しました】新野の雪祭りと折口信夫―映像上映と講演・順の舞奉納―


阿南町新野の「雪祭り」は、大正15年にこれを見学した折口信夫によって命名されたといわれます。折口は頻繁にこの祭りを訪れて多くの示唆を受けるとともに、新野の人たちと親交を深めました。
12月10日(日)、國學院大學常磐松ホール(東京都渋谷区東4丁目)で雪祭りの記録映像上映と順の舞奉納、講演会が行われます。
折口信夫生誕130年の節目を機に、南信州広域連合が取り組む「民俗芸能保存継承プロジェクト」の一環として実施するもので、伊那民俗学研究所も後援します。

今回の同大學における雪祭りの舞奉納は、折口自身が招致した昭和28年11月と、折口の7回忌にあたる昭和35年10月に行われたものに続き3回目となります。

期日:2017年12月10日(日)

会場:國學院大學常磐松ホール(東京都渋谷区東4丁目10番28号)

参加費など:無料・事前申し込み不要

内容・スケジュール:

 10:00~ 記録映像「新野の雪祭り」前半上映
13:00~ 開会・挨拶と経過説明
13:10~ 新野の雪祭り「順の舞」「中啓の舞」奉納
13:30~ 講演「新野の雪祭りと折口信夫」 小川直之(國學院大學教授・折口博士記念古代研究所)
      講演「新野の雪祭りの特質」 櫻井弘人(飯田市美術博物館学芸員・國學院大學兼任講師)
14:40~ 記録映像「新野の雪祭り」後半上映
17:15  閉会


清内路の手づくり花火を探訪しました

2017年10月6日・14日に行われた長野県阿智村清内路の「手づくり花火」を、研究所会員有志が見学しました。
14日の下清内路手づくり花火は所報で参加者を募り、本年度の研究所探訪会および柳田研究会のフィールドワークとして実施しました。



6日の上清内路諏訪神社で行われた煙火奉納は、あいにくの激しい雨の中での実施となりましたが、肌寒い秋雨にずぶ濡れになりながら花火点火に奮闘する同志会の皆さんの姿に心を打たれました。




14日の下清内路諏訪神社で行われた煙火奉納は、事前の予報に反して天候に恵まれ、美しい仕掛け花火や大三国に魅了されました。




清内路の手づくり花火は本年度から記録保存事業が行われており、当研究所も事業に協力しています。

2017年10月9日月曜日

研究所活動予定(~2017年12月)

2017年12月までの当研究所の活動予定をお知らせします。
所報110号の8ページに掲載した案内を掲載しますのでご利用下さい。

※拡大画像を表示する場合は、アルバム表示時の左クリックで「別タブで画像を開く」「画像だけを表示」等を選択してください。

2017年7月1日土曜日

2017年度総会および記念講演会報告

 当研究所の2017年度総会が、5月28日(日)に飯田市美術博物館講堂で行われました。

総会


会員19人が出席し、研究所規則をはじめとした全ての議題を原案通り承認しました。今年度事業では、11月25日(土)・26日(日)に「伊那民俗研究集会」を開催するほか、「伊那民研叢書3」を発行する予定です。

記念講演会


常光徹・歴民博名誉教授が「民具と俗信」と題して講演。箒、鍋蓋、箕などにまつわる俗信や禁忌の事例を紹介し、日本人の悪霊観念などとの関連を指摘しました。

民具にかかわる俗信・禁忌・習俗の例
  • 箒=「箒はお産の神様である」「箒を逆さに立てると安産になる」「死者のそばには箒を逆さに立てておく」「長居の客を帰すには、客の見えない所に箒を逆さに立てるとよい」など
  • 鍋蓋=「鍋蓋の上でものを切るな」「鍋に蓋をしないまま煮炊きをするな」「瀕死の産児は鍋蓋であおぐと生き返る」など
  • 鍋=「鍋づるの間からやり取りするな」「赤ん坊は鍋づるをくぐらせると丈夫になる」など
  • 鍋墨=「鍋墨で額に×印を描くと魔除けになる」など
  • 箕=「子どもが不意の熱を出したら箕であおぐとよい」「花嫁が婚家に入るときに頭に箕と枡をかぶせる真似をする」など
常光徹名誉教授

会員研究発表会


総会にあわせた会員発表は昨年からの取り組みです。
まず、片桐みどり会員が「子どもの遊びについて」をテーマに発表。旧飯田町を中心に子どもの遊びを調査した結果に基づき、遊びの空間や内容、戦時下の疎開などに着目して、当時の子どもたちの姿を浮き彫りにしました。
片桐会員


続く岡庭圭祐会員の発表テーマは「遠山郷上村におけるメデタ(祝い唄)習俗と婚礼」。
飯田市上村における婚礼で「メデタ」「かのた」「端唄」などの祝い唄が大きな存在を占めていたこと、近年は婚礼の変化によってその伝承も難しくなっていることを報告しました。

岡庭会員
翌29日は常光先生、福田所長ら9人で大鹿村を巡検。村歌舞伎の舞台や遠山氏ゆかりの寺社などを見学しました。

2017年6月24日土曜日

柳田国男の生誕地を訪ねる【福崎町への旅】巡検報告

2017年4月23~24日の1泊2日で、兵庫県福崎町を巡検する探訪会を開催しました。福田アジオ所長を含む7人で、 さまざまな国男ゆかりの地を訪ねました。

1日目(4/23)記念館・生家・鈴ノ森神社など


JR播但線福崎駅には町のマスコット「フクちゃん」「サキちゃん」
福崎町は柳田国男とモチムギを地域資源としてPRに力を入れています。
柳田国男の回顧録『故郷七十年』にガタロ(河太郎=河童)の伝承が登場することから、河童が町のマスコットとなっています。
ガジロウと将棋を指せるベンチも(JR福崎駅前)
近年は、役場職員がデザインしたリアルな河童のキャラクター「ガジロウ」が話題を集めています。
赤い肌は地元の伝承ではなく、「遠野物語」に登場する河童に着想を得たものとのこと。
「民俗学柳田國男生誕の地」の字が掲げられた福崎町役場

国男の生家が保存されている付近の公園(辻川山公園)は、造形を公募した妖怪のブロンズ像などが林立して観光地となっています。隣接の観光施設「もちむぎの館」で飲食やショッピングなどができます。
公園と辻川の町並を高台から見下ろす

ガジロウが出現する池にはいつも人だかり
池のほとりの看板には、「駒ヶ岩で子どもたちの尻子玉を抜いていたガタロウ・ガジロウ兄弟が、柳田國男先生に謝ろうと生家のある辻川山公園までやってきて、ガタロウは皿の水が乾いて固まってしまったが、ガジロウは池の中にいたので今も顔を出す」というフィクションのストーリーが紹介されていました。

妖怪小屋から逆さ吊りで登場する天狗
天狗のオブジェもあちこちに配置され観光客の人気を博していました。天狗は地元の伝承に基づいたものではないとのことで、彼らはモチムギどらやきを持っていたり、スーツを着てなにやらパソコンでネット検索をしたりと、ユーモアを前面に押し出しています。

辻川山の山腹には、柳田國男・松岡家記念館、神崎郡歴史民俗資料館(旧神崎郡役所・移築)、柳田国男生家(移築)、鈴ノ森神社などが集まっています。辻川山は「民俗の森」と名付けられ、優秀だった松岡家五兄弟にあやかる散策路「学問成就の道」が整備されています。

記念館および資料館では、福崎町教育委員会の担当の方から解説をしていただきました。


柳田國男・松岡家記念館
記念館は、生前の柳田国男の映像(NHKのテレビ番組)や、柳田が喜談書屋で使用していた書斎机、兄弟たちの業績展示などが見どころでした。職員さんのお話によると、ガジロウの登場によって、記念館の入館者数も飛躍的に増加したとのこと。
神崎郡歴史民俗資料館で学芸員の説明を受ける
かつては辻川の中心部にあった郡役所。白亜の擬洋風建築で、群役所の建物や資料が現存するのは全国的に見ても貴重とのこと。

柳田国男の生家


生家内部
国男の生家も辻川中心部付近にあったものを移築。幼き日の国男やその家族がどのように生活していたのかに思いを馳せながら見学しました。
鈴ノ森神社の参道門柱は長兄松岡鼎(右)と国男(左)が寄進

松岡兄弟らが床下で子犬を飼っていたという地蔵堂

国男たちが遊び場にしていた鈴ノ森神社や地蔵堂を見学。
カッパ伝説が残る駒ヶ岩
辻川の中心部から西方徒歩10分ほどのところを流れる市川には、駒ヶ岩と呼ばれる大きな岩があり、ここにガタロが棲むという言い伝えを柳田が『故郷70年』で触れていることから、近年の「河童で町おこし」につながっているようです。
宿泊先の文殊荘で、地元のお年寄りからも「あそこではよく泳いで遊んだ。ここの淵は深かった」というお話が聞けました。
国男の祖母、松岡小鶴の墓(中央・悟真院)
宿泊先である「文殊荘」近くの墓地で、国男に大きな影響を与えた祖母小鶴の墓を見学しました。

2日目(4/24)サンマイ、三木家、生家跡など


辻川集落の外れに残るサンマイ(埋め墓)
埋め墓と参り墓を別にする両墓制は西日本では一般的な方式で、民俗学における重要なテーマの一つです。福田所長の案内で、辻川の外れのサンマイ(埋め墓)を訪れました。
現在は墓石が多く立っていますが、ところどころに埋葬地の面影を見ることができ、現在の様子を地元の方からうかがうこともできました。
サンマイから旧街道を歩いて辻川の中心地へ
サンマイから15分ほど歩くと辻川の中心地に入ります。途中には国男生家とよく似た昔ながらの住宅も見られました。
松岡家の詣り墓があった円乗寺
旧郷社熊野神社の隣の円乗寺は、現在は無住。かつて松岡家の詣り墓があった寺です。現在は裏庭に墓地整理の名残りとして墓石が密集しています。
修復が終わり4月から一般公開が始まったばかりの三木家
松岡家は貧しかったとはいえ、国男の父や祖母は地元の知識人であり、長兄鼎は小学校の若き校長という名士。松岡家は大庄屋である三木家とも親交があり、幼い国男はこの家に預けられて乱読の日々を送り、その経験がのちの民俗学につながりました。
この日は月曜日で本来は休館であるところ、教育委員会のご配慮で開けていただき、担当の方から詳しい解説をいただきました。
東三木家の塀にはカッパのイラスト
旧街道「銀の馬車道」を100メートルほど東に進むと、旧家の一つ「東三木家」に着きます。現在は「コミュニティカフェ 河童のさんぽ道」に改装されていました。
カフェに改装された東三木家
遅めのモーニングをいただいた後、三木家住宅の前を通って国男の生家があった場所へ。標柱だけが残っていました。
その後、有志が姫路城を見学して巡検は終了しました。

国男の生家跡地に立つ標柱
今回は、時代も風景も大きく異なるとはいえ、柳田国男が幼少期を過ごした土地を実際に肌で感じることができ、貴重な機会となりました。
とくに、地元自治体が柳田国男を観光資源として利用するにあたり、彼の膨大な業績の中から駒ヶ岩の「ガタロ」伝承を集中的にクローズアップして「妖怪テーマパーク」を現出させようとしている姿は、とても興味深いものでした。
飯田市と協力して柳田国男の旧書斎「喜談書屋」の運営に関わっている当研究所としても、柳田および民俗学の学問的成果をどのように一般の皆さんに分かりやすく、楽しく伝えていくべきかを考えさせられた旅でした。 (文責:今井啓)

2017年5月19日金曜日

5月28日(日)に研究所総会と記念講演会・会員発表会が行われます

2017年度の伊那民俗学研究所総会を以下の通り開催します。総会に続いて記念講演会と研究所会員の研究発表を行います。ぜひご参加ください。
 

5月28日(日)

会場:飯田市美術博物館講堂 

12:30~ 総会 (通常の議題に加え、研究所規則案が提出されます)

13:30~ 総会記念講演会(講師:常光徹氏) 詳しくは講座・講演会のページをどうぞ。

15:30~ 会員発表(発表者:片桐みどり会員、岡庭圭佑会員) 

17:30~ 常光先生、福田所長を囲んで懇親会(飯田市常磐町の千登勢にて)
          参加ご希望の方は26日(金)までにお知らせください。
 

5月29日(月)


常光先生、福田所長と大鹿村への巡検を予定しています。参加希望者は26日(金)までにお知らせください。 

2017年4月2日日曜日

【参加者募集】柳田国男の生誕地を訪ねる旅【終了しました】

 柳田国男の生誕地である兵庫県福崎町への探訪会を4月23日(日)・24日(月)の1泊2日で開催します。費用は3万円程度を予定。
 柳田の生家、柳田國男・松岡家記念館、神崎郡歴史民俗資料館、鈴ヶ森神社、大庄屋三木家住宅などを福田アジオ所長とともに巡ります。
参加希望者は4月10日(月)までに当研究所までお申し込みください。

申し込みメールアドレス: inaminken@gmail.com

柳田国男の生家

2017年4月1日土曜日

研究所活動予定(~2017年6月)

2017年6月までの当研究所の活動予定をお知らせします。
所報108号の8ページに掲載した案内を掲載しますのでご利用下さい。
探訪会や講演会などについては、詳細が決まり次第随時お知らせいたします。


拡大画像はアルバム表示時の左クリックで「別タブで画像を開く」「画像だけを表示」等を選択してください。

2017年3月31日金曜日

入門講座・ゼミ報告(3~5回)

入門講座第3回(2017年1月21日)


 19人が参加。テーマは「現代の商品流通と民俗」。
福田所長は「商業活動や流通をも視野に入れた研究はフォークロリズムと呼ばれてドイツやアメリカで1980年代以降盛んになった。日本でも民具研究の分野ではその重要性が指摘されていた。現在は冠婚葬祭や年中行事などに業者の影響が大きい。それによって地域差の消滅や新しい習慣の発生などが見られる一方、葬送儀礼では、業者が伝統の保存継承に役立っている面もある」と指摘しました。
 会員発表では、松上清志会員が地元のコンビニエンスストア経営者からの聞き取りを報告し、節分の恵方巻きの売り上げが飯田下伊那でも大きく伸びていることを報告しました。


入門講座第4回(2017年2月18日)


 24人が参加。テーマは「学校の怪談・都市伝説」
 福田所長は「1980年代の怪談ブームを背景に、松谷みよ子の『現代民話考』や常光徹の『学校の怪談』、J・H・ブルンヴァンの『消えるヒッチハイカー』などが注目された。都市伝説研究は「民俗学は古くさい」という印象を変えることに貢献したが、印象論やルポルタージュに留まりがちである点が課題である」と指摘しました。
 会員発表では、今井啓会員が飯田市内の小学校に伝わるトイレや二宮金次郎像の怪談について報告しました。

第4回の講義の様子

入門講座第5回(2017年3月18日)


 テーマは「民俗を活用する現代」。
 福田所長は、柳田の『遠野物語』を核に観光戦略を成功させた遠野市の例などを紹介。博物館展示や介護の分野にも民俗学が利用されている事例を挙げる一方、「マイナスの民俗への視野の拡大や、伝承者を尊重する取り組みが必要になる」と指摘しました。
 会員発表では櫻井弘人会員が、観光化されつつある民俗芸能の現状を報告。「観光客に注目されることが地域の誇りにつながるのならばよいが、それはあくまで伝承者が主体的に考えるべきこと」と見解を述べました。



入門ゼミも講座の各回とあわせて行われ、ゼミ生がそれぞれの調査の中間報告を行い、福田所長およびゼミ仲間から感想やアドバイスを受けました。
2月18日のゼミの様子