最新のお知らせ

2024年5月26日(日)に2024年度の総会と記念講演会および研究発表会を美博講堂で行います。

2015年5月31日日曜日

【報告】2015年度総会と小松和彦先生による記念講演会

5月24日、飯田市美術博物館講堂で2015年度総会と小松和彦先生による総会記念講演会(美博と共同開催)を行いました。

総会


総会では2014年度の事業報告と会計報告、2015年度の事業計画と予算、役員人事が原案通り承認されました。

2015年度事業計画の主な内容は次の通りです。
  • 紀要・所報の発行
  • 福田所長の入門講座をまとめた『伊那民俗学研究所叢書』(仮称)の刊行
  • 第4期入門講座 テーマ「柳田国男の民俗学―その学説を学ぶ―」(2015.10~2016.3)(予定)
  • 民俗探訪会 神奈川県近代文学館特別展「生誕140年 柳田國男展」(10月)
  • 各部会活動、美博および他の学術団体との協力等

記念講演会


続いて行われた記念講演会では、国際日本文化研究センターの小松和彦所長に「自然災害と怪異伝承―民俗知の活用を考える―」と題して講演いただきました。


 「妖怪文化の伝道師」として多くのメディアで講演・執筆を行う小松所長は、今回久しぶりという完全講義形式でお話をいただきました。
【講演要旨
 昨年8月に多くの死者を出した広島市の土砂災害では、被災地の古地名が「蛇落地」「悪谷」だったものがのちに「上楽地」「芦谷」と書かれるようになり、住宅地開発が進んだと報道された。
長野県木曽地方などでは土砂崩れを「蛇抜け」と呼ぶ。また各地には災害直前に上流から「やろうか、やろうか」と声がかかる「やろか水」や、水神が琵琶法師などに災害を警告する蛇抜け伝説が分布し、笹本正治・信州大教授の『蛇抜け・異人・木霊』(岩田書院、1994)など貴重な研究成果もある。
現在消防庁が全国の災害伝承を防災教育用にインターネットで公開しているが、こうした伝説や供養・記念碑、地名などをデータベース化し防災に活用することが求められる。地元の若手研究者にもぜひ取り組んでもらいたいテーマである。

 講演後は館内のプラネタリウムで遠山の埋没林や霜月祭りの番組を鑑賞しました。
 夕刻からは市内の「千登勢」にて懇親会を開催。妖怪関係のメディア関係の皆さんも参加し、五平餅、馬刺し、おたぐりなど飯田の郷土食を味わいました。