最新のお知らせ

2024年3月23日(土)15:00から柳田館で通常例会「おさま甚句はどこからはよた♪三州振草下田の盆踊り」(宮下英治会員)を行います。

2015年12月10日木曜日

【報告】第4期入門講座・第2期入門ゼミ第2回

第2期入門ゼミ第2回(2015.11.15)

今回エントリーした7人全員が出席。宮下英治さんが「調査レポート 天龍村坂部の九月の祭と神子入り」(櫻井弘人著)について、 熊谷文世さんが「調査報告 下清内路の集落と出作り小屋」(金澤雄記著)について発表しました。いずれも専門分野からの報告のため、発表者は用語の理解から苦労しましたが、新しい研究分野に興味がかきたてられました。



第4期入門講座第2回「色・音・匂いにも歴史」(2015.11.15)

24人が聴講。柳田の名著として知られる『明治大正史世相篇』および『木綿以前の事』を中心に、何気ない庶民の生活にも時代による変化があったと指摘する柳田の主張を学びました。柳田の指摘は先駆的でしたが、それを客観的な研究対象としてどう一般化するかは難しい課題であることが示されました。

2015年12月3日木曜日

後藤先生の墓参、「柳田國男展」見学、鎌倉交流

 10月31日(土)、運営委員および会員有志が鎌倉市浄明寺にある後藤総一郎初代所長のお墓に参拝しました。奥様の後藤三枝子さん、鎌倉柳田学舎の曾原糸子さんらもご参加くださいました。
 午後は神奈川近代文学館で「柳田國男展」と山折哲雄氏の記念講演を観覧。山折氏は「長年培われてきた日本人の知恵を解き明かしてくれるのが柳田さんの魅力」と語りました。
 夜は鎌倉の皆さんと交流会を行い、翌日は市内の「穴場」的なスポットをご案内いただきました。 鎌倉柳田学舎の皆様、ありがとうございました。

10月31日(土)
後藤先生のお墓参り(鎌倉浄明寺)

神奈川近代文学館「柳田國男展」見学

11月1日(日)
 鎌倉学舎の方々の案内で鎌倉探訪

北条政子と源実朝の墓がある寿福寺裏山

見事な仏殿や唐門などが残る英勝寺

後鳥羽、土御門、順徳の三天皇の御霊を鎮める今宮(新宮神社)

2015年10月19日月曜日

【報告】第4期入門講座、第2期入門ゼミがスタートしました

 2015年10月18日より、福田アジオ所長による第4期入門講座と第2期の入門ゼミナールがスタートしました。 「伊那谷の民俗を学ぶ」というテーマで行われる今期には、7人のゼミ生が応募。第1回には5人が出席しました。
福田所長からの授業方針の説明ののち、課題候補として示された9編の論文を大書斎から探し出し、ゼミ生それぞれが担当の論文を選んで発表順を決めました。
続く入門講座には23人が聴講。「柳田国男の民俗学・その仮説を学ぶ」というテーマに基づき、第1回では柳田の生涯とその仮説の概要を福田所長が解説しました。
次回からは柳田国男の具体的な仮説を取り上げていきます。

2015年10月17日土曜日

【報告】美博まつり、探訪会、書籍寄贈

第10回美博まつりに協力しました


8月1、2日に行われた飯田市美術博物館主催の「美博まつり」に協力しました。柳田館で七夕民話の映像上映と七夕飾り体験を実施しました。
参加者が短冊や切り紙で笹を飾って持ち帰る七夕飾りは、親子連れにとても好評でした。

『信州随筆』や菅江真澄ゆかりの地を巡る探訪会を開催しました


8月28日、柳田研究会と近代思想史研究会による合同フィールドワークを開催しました。両部会や一般会員から12名が参加。柳田国男や菅江真澄にゆかりのある場所を中心に、辰野、塩尻、岡谷方面を探訪しました。

『信州随筆』に登場した枝垂れ栗の群生地(辰野町小野)。曲がりくねった枝が神秘的でした。
伊那街道小野宿の旧問屋「小野家」(同)。地元のガイドの方がご案内下さいました。
柳田国男が昭和5年に「民間伝承論大意」を講義した長興寺(塩尻市洗馬)。ご住職が解説してくれました。
菅江真澄が逗留した釜井庵(同)。資料館の館長様がご案内くださいました。
『木綿以前の事』のテーマとも関わりがある岡谷蚕糸博物館(岡谷市)  。製糸の実演や工場内部も見学できました。

参加者全員が熱心によく見て、歩き、聴き、質問し、話した一日でした。ご案内くださった地元の皆様に感謝申し上げます。

飯田下伊那の高校・短大に書籍を寄贈しました


 8月下旬、飯田下伊那の高校と短大の計9校に当研究所の刊行物を寄贈しました。
寄贈した書籍は『飯田・上飯田の民俗1』『伊那谷の民俗学を拓いた人びと』(Ⅰ、Ⅱ)、『伊那民俗』(50~100号)です。

2015年7月20日月曜日

【予告】『信州随筆』や菅江真澄ゆかりの地を巡る探訪会

【開催日が8月28日に変更になりました/参加申し込み受け付けは終了しています】 

 当研究所の部会である「柳田研究会」と「近代思想史研究会」が合同で開催する民俗探訪会(フィールドワーク)を2015年8月29日(土)28日(金)に実施します。部会員以外でも参加できます。
 探訪先は枝垂れ栗(辰野町)、小野宿(同)、岡谷蚕糸博物館(岡谷市)、長興寺および釜井庵(塩尻市)です。


【企画担当より】
 柳田国男研究会は、柳田国男の著作『信州随筆』や『木綿以前の事』を読み合わせてきた。その中に出てくる枝垂れ栗、絹と木綿の違いの問題を現地で見てみたいとの声があった。
 一方、近代思想史研究会では伊那谷の近代を支えた製糸工場の様子が具体的につかめる岡谷蚕糸博物館や、ついこの間まで伊那谷への交通の要衝であった小野宿を見たいとの要望があった。
 さらに、柳田国男が三日間講演した洗馬の長興寺や菅江真澄が一年間滞在した釜井庵も行程に入れて見学することにした。



1、期日・日程

2015年 8月 29日(土)28日(金)
   飯田市美術博物館第3駐車場 集合7:20  出発7:30
   ①枝垂れ栗       9:00~ 9:30
   ②小野宿        9:40~10:30
   ③長興寺        11:00~11:30
   ④釜井庵と資料館   11:40~12:30
   ⑤塩尻で昼食     12:40~13:30
   ⑥岡谷蚕糸博物館  14:00~16:30
  飯田市美術博物館第3駐車場  到着 17:40(解散)

   ※途中で乗下車を希望する方は事前にお申し出ください。

2、参加費

10,000円程度を予定、当日精算
   ※参加人数によって変更あり
   ※交通費や入館料、拝観のお礼、保険料等を含む
   ※昼食は各自別途支払い

3、持ち物 

帽子、飲み物、雨具、カメラ、昼食代など 

【報告】美博民俗講座が開かれました

 2015年7月19日(日)、「美博民俗講座」が飯田市美術博物館講堂で開かれ、当研究所の宮下英美会員が「家庭の味から店の味へ―ヤキモチとゴヘイモチ―」と題して報告を行いました。

 宮下さんは「ヤキモチ」もしくは「オヤキ」と呼ばれる食べ物について、北信や東信では具を小麦粉の皮で包むのに対し、南信では主に小麦粉を水で溶いて薄焼きにする違いがあること、近年は北信のオヤキを販売する店舗が飯田下伊那にも増えてきたことを指摘。
 南信では手軽に焼ける薄いヤキモチは繁忙期の昼食や日々の間食として食べられていた「ケ」の食べ物であり、「ハレ」の御馳走の代表格がゴヘイモチだったと述べました。また、ゴヘイモチの串を作る地元職人からの聞き取りも報告してくれました。

2015年7月10日金曜日

所報101号発行/美博民俗講座/2015年度入門講座&ゼミナールのお知らせ

【報告 所報101号発行】

所報『伊那民俗』101号を発行しました。表紙を少しリニューアル。
メーン投稿は折山邦彦会員の「「悲劇の宮家」を祀る神社―横田為雄さんと北白川宮家―」です。
詳しくは所報のページをご覧ください。

【予告 美博民俗講座】

2015年7月19日(日)13:30から、宮下英美会員による美博民俗講座「家庭の味から店の味へ―ヤキモチとゴヘイモチ―」が開かれます。
詳しくは講座・講演会のページをご覧ください。

【予告・募集 2015年度入門講座&ゼミナール】

2015年10月から福田アジオ所長による第4期入門講座と第2期ゼミナールがスタートします。
講座のテーマは「柳田国男の民俗学・その仮説を学ぶ」。ゼミのテーマは「伊那谷の民俗を学ぶ」。
現在ゼミ参加生を募集中です。申込締切は9月30日(水)。
詳しくは講座・講演会のページをご覧ください。

2015年5月31日日曜日

【報告】2015年度総会と小松和彦先生による記念講演会

5月24日、飯田市美術博物館講堂で2015年度総会と小松和彦先生による総会記念講演会(美博と共同開催)を行いました。

総会


総会では2014年度の事業報告と会計報告、2015年度の事業計画と予算、役員人事が原案通り承認されました。

2015年度事業計画の主な内容は次の通りです。
  • 紀要・所報の発行
  • 福田所長の入門講座をまとめた『伊那民俗学研究所叢書』(仮称)の刊行
  • 第4期入門講座 テーマ「柳田国男の民俗学―その学説を学ぶ―」(2015.10~2016.3)(予定)
  • 民俗探訪会 神奈川県近代文学館特別展「生誕140年 柳田國男展」(10月)
  • 各部会活動、美博および他の学術団体との協力等

記念講演会


続いて行われた記念講演会では、国際日本文化研究センターの小松和彦所長に「自然災害と怪異伝承―民俗知の活用を考える―」と題して講演いただきました。


 「妖怪文化の伝道師」として多くのメディアで講演・執筆を行う小松所長は、今回久しぶりという完全講義形式でお話をいただきました。
【講演要旨
 昨年8月に多くの死者を出した広島市の土砂災害では、被災地の古地名が「蛇落地」「悪谷」だったものがのちに「上楽地」「芦谷」と書かれるようになり、住宅地開発が進んだと報道された。
長野県木曽地方などでは土砂崩れを「蛇抜け」と呼ぶ。また各地には災害直前に上流から「やろうか、やろうか」と声がかかる「やろか水」や、水神が琵琶法師などに災害を警告する蛇抜け伝説が分布し、笹本正治・信州大教授の『蛇抜け・異人・木霊』(岩田書院、1994)など貴重な研究成果もある。
現在消防庁が全国の災害伝承を防災教育用にインターネットで公開しているが、こうした伝説や供養・記念碑、地名などをデータベース化し防災に活用することが求められる。地元の若手研究者にもぜひ取り組んでもらいたいテーマである。

 講演後は館内のプラネタリウムで遠山の埋没林や霜月祭りの番組を鑑賞しました。
 夕刻からは市内の「千登勢」にて懇親会を開催。妖怪関係のメディア関係の皆さんも参加し、五平餅、馬刺し、おたぐりなど飯田の郷土食を味わいました。

2015年4月24日金曜日

【報告】入門講座第3期 第5・6回

■第3期入門講座は終了し、一般受講者のうち皆勤賞3名、精勤賞3名に福田所長から著作本が贈呈されました。

 第Ⅳ期の開催については現在、運営委員会で検討しています。詳細が決定次第お知らせいたします。



第6回 講義要旨 4月19日(日)


「後藤総一郎-常民の学問をめざして」

高橋寛治会員
 当研究所の初代所長であり、全国各地で「常民大学」を主宰した故・後藤総一郎(1933~2003)は、遠山が抱えるさまざまな課題に眼差しを向け、住民が自分たちの地域で学ぶ大切さを説いた。
 官の学と一線を画して学問を続ける姿勢は柳田とまったく一致する。こうした学問のあり方は、情報化と中央集権によってこの飯田地域が均質化していく中で、よりいっそう必要になってくるのではないか。

「宮本常一-個人からの民俗学」

福田アジオ所長
 宮本常一(1907~1981)を表すときの常套句「旅する民俗学者」は、柳田による宮本評が発端となっている。
 宮本は渋沢敬三の私的な研究機関であるアチック ミューゼアム(後に日本常民文化研究所と改称)の研究員として活動した。個別地域の歴史性と生活実態の把握に重点を起き、政治や行政を活用した具体的な「経世済民」を実践した。
 歴史的解釈に根拠を示さなかったり、記述に明らかな虚構性が認められるなどの問題性もあるが、人間味にあふれ柳田にはない民俗学を実践した点で高く評価される。



第5回 講義要旨 3月15日(日)


「松山義雄―孤高の山国ロマン」

今井啓会員
 箕輪町出身の松山義雄(1910~2011)は、野生動物の伝承や山の民俗について独自の調査と執筆活動を精力的に行い、多くの著作を残した。
 柳田国男の義理の従甥という立場ながら、柳田から直接教えを受けることなく、他の研究者とも交流を持たず孤高を貫いた。
 晩年は牽強付会な論も目立つが、一貫して彼の研究を支えたのは初期の柳田に通じるロマンチシズムだったと想像される。

「中山太郎の民俗学―文字の世界へ―」

福田アジオ所長
 中山太郎(1876~1947)は柳田よりも早い時期に「民俗学」という言葉を使い、膨大な文献資料を駆使して多くの大著を残しながらも、柳田から無視されたために現在はほとんど知られていない。
 民俗調査を行わないことや史料批判が不十分であることなどの問題点はあるが、「性」の問題や国外への視線など、柳田が切り捨ててきた課題についても取り組んでいる点で大きく評価されるべきである。

2015年4月22日水曜日

【報告】天龍村坂部ブサ祭り探訪会

 4月15日(水)、参加者10人にて天龍村坂部の「ブサ祭り」神事を見学しました。
 静岡県と愛知県からも参加者がありました。一時は雹や雷雨が降り、行事の開催も危ぶまれましたが、晴れ間を狙って無事開催されました。
 熊谷家の行事を受け継いでいる関福盛さん、奥様で柚餅子生産者組合の関京子さんには大変お世話になりました。


雨霧に煙る坂部集落。
関さん手作りの昼食を食べながら、今年製作されたばかりのDVD「坂部の年中行事」を鑑賞し、櫻井弘人会員の解説で事前学習。
具だくさんの巻きずし。
時折雨が降る中おこなわれたブサ祭り。
参加者一同で記念撮影。

見学後は櫻井会員の案内で、熊谷家伝記にも登場する集落内の神社や寺堂などを見学しました。
坂部を後にする間近のころには谷あいに虹も昇り、印象的な探訪会となりました。

2015年4月7日火曜日

民俗探訪会「坂部のブサ祭り」を開催します

 天龍村坂部では、4月の初めの酉の日(酉の日が3日ある場合は中の酉)に「ブサ祭り」(奉射祭り)という行事が行われます。これは坂部の郷主だった熊谷家の氏神・八幡神社の祭礼で、『熊谷家伝記』明徳4年(1393)の条によれば、坂部に土着した初代熊谷貞直が新田義貞公の館で行われていた祭りに倣って始めたとされています。つまり700年以上前から続いてきた行事であり、中世武士階級の習俗を今に伝える貴重なものといえます。
 今回は「夢工房・左閑辺屋」で郷土料理の昼食をいただき、事前学習をしてから見学します。

◆期 日 2015年4月15日(水) 午前10時集合

◆集合場所 飯田市美術博物館第3駐車場

◆日 程 10:00 美博第3駐車場集合、集金
乗り合わせで坂部へ
11:30 左閑辺屋着
 事前学習、昼食
13:00 ブサ祭り見学
16:00頃 美博に戻り解散

◆参加費 実費1,500円程度を予定
(左閑辺屋での昼食代1000円のほか、資料代、保険料、ガソリン代等込み)

◆留意事項 坂部へは参加者の自動車に乗り合わせて移動します。
歩きやすい服装でご参加ください。雨具などは各自ご用意ください。

◆申し込み 2015年4月12日(日)までに下記へ名前、住所、電話番号をお伝えください。
Faxもしくはメールが確実です。
※直前キャンセルは参加費を徴収する場合があります。
※申し込み多数の場合は先着順となる場合があります。


◆問い合わせ、申し込み先
柳田國男記念伊那民俗学研究所 事務局
〒395-0034 飯田市追手町2-655(飯田市美術博物館内、担当=櫻井・中山)
Tel 0265-22-8118
Fax 0265-22-5252
e-mail inaminken@gmail.com  URL http://inaminkenhome.blogspot.jp/

2015年3月2日月曜日

所報『伊那民俗』100号を発行しました

 1990年、当研究所の創立と同時に発行が始まった所報『伊那民俗』が100号の節目を迎えました。
 3月1日に発行した記念号は「伊那民俗の課題と展望」をテーマとして16ページに拡大。6人の執筆陣が民俗や民俗学、当研究所の活動について課題指摘や提言を行っています。

 詳しい目次は→【こちら】をごらんください。

2015年2月16日月曜日

【報告】第Ⅲ期入門講座第4回

 第Ⅲ期入門講座の第4回は2月15日(日)に開催し、26人が聴講しました。松上清志会員が「水野都沚生-下層の人々への思い」、福田所長が「折口信夫の民俗学-直感から仮説へ―」と題して講義を行いました。

 水野都沚生(としお、1910~1973)氏は飯田市追手町の出身。國學院大學で折口信夫に師事し、大阪毎日新聞社などに勤務したのち、戦時中は満州にて兵役。復員後は故郷飯田に帰り、地元の新聞社や高校に勤めるかたわら昭和32年ころから民俗調査に取り組みました。
 下伊那南部の「おじろく・おばサ」、高森の猿回し芸能、飯田の瞽女などについて多くの貴重な報告を行い、「飯田文化財の会」の発足と運営にも尽力しました。
 松上会員は「霜月神楽などの有名な芸能ではなく、忘れ去られようとしている小さな芸能、社会の中で差別されているような最下層の人々に光を当てた」とその業績を紹介しました。

 一方、福田所長は、折口信夫(1887~1953)が雑誌『郷土研究』に初めて投稿した論文「髯篭(ひげこ)の話」(1915)にまつわるエピソードを通じて、柳田国男と折口の師弟関係は当初から緊張感に満ちたものであったことを解説。
 よく知られている「依代」という用語は折口の造語でありながら、現在は折口が使用した本来の意味とは異なって使われていることを指摘しました。
 また、ひとつの直感から仮説を立てて論を広げていくのが折口のスタイルではあるものの、地域で自立した調査研究を行うことの必要性を指摘(「地方に居て試みた民俗研究の方法」1935)している点が注目されると評価しました。

■第5回は以下のスケジュールで開催します。

3月15日(日) 柳田国男館 
18:00~18:30「松山義雄-孤高の山国ロマン」今井啓
18:30~19:30「中山太郎-文字の世界へ」福田アジオ

2015年2月5日木曜日

【報告】第Ⅲ期入門講座第3回

 第Ⅲ期入門講座の第3回は1月18日(日)に開催。寺田一雄会員が「向山雅重-くらしを聞きとる」、福田所長が「南方熊楠-古今東西を対象に」と題して講義を行いました。

 宮田村出身の向山雅重氏(1904~1990)は、長野県内を中心に精力的な民俗調査を行い、その膨大な成果を地元雑誌などに発表し続けました。

   寺田会員は生前の向山氏と身近に接した立場から、「調査の場所や人を選ぶ必要はない、熱意を示せば皆腹を割って教えてくれる」という向山流の研究姿勢を紹介し、「向山先生が残した資料は伊那谷民俗学の古典。全国的に見てもこれほど調査を行った人は少ないのではないか」とその業績を振り返りました。

 福田所長は、型破りなスタイルと博覧強記で知られた南方熊楠が日本民俗学の形成に与えた役割について解説。柳田国男は南方と頻繁に手紙を交換することでヨーロッパにおけるフォークロアを学びみずからの理論形成に役立てたこと、一方で南方ならではの世界的視野や猥雑な事象については否定的な立場を貫いたことなどを説明しました。

 また、南方の論文そのものはデータの洪水であり、そこから彼独自の学説らしきものも読み取れないため、学問的には顧みられることがほとんどない、と指摘しました。


 講座第4回は 2月15日(日)に開催します。
 講座の直前に行われているゼミとの関係から、研究所会員による発表を先に行います。

18:00~18:30「水野都沚生-下層の人々への思い」松上清志

18:30~19:30「折口信夫-直感から仮説へ」福田アジオ