最新のお知らせ

2024年3月23日(土)15:00から柳田館で通常例会「おさま甚句はどこからはよた♪三州振草下田の盆踊り」(宮下英治会員)を行います。

2017年3月31日金曜日

入門講座・ゼミ報告(3~5回)

入門講座第3回(2017年1月21日)


 19人が参加。テーマは「現代の商品流通と民俗」。
福田所長は「商業活動や流通をも視野に入れた研究はフォークロリズムと呼ばれてドイツやアメリカで1980年代以降盛んになった。日本でも民具研究の分野ではその重要性が指摘されていた。現在は冠婚葬祭や年中行事などに業者の影響が大きい。それによって地域差の消滅や新しい習慣の発生などが見られる一方、葬送儀礼では、業者が伝統の保存継承に役立っている面もある」と指摘しました。
 会員発表では、松上清志会員が地元のコンビニエンスストア経営者からの聞き取りを報告し、節分の恵方巻きの売り上げが飯田下伊那でも大きく伸びていることを報告しました。


入門講座第4回(2017年2月18日)


 24人が参加。テーマは「学校の怪談・都市伝説」
 福田所長は「1980年代の怪談ブームを背景に、松谷みよ子の『現代民話考』や常光徹の『学校の怪談』、J・H・ブルンヴァンの『消えるヒッチハイカー』などが注目された。都市伝説研究は「民俗学は古くさい」という印象を変えることに貢献したが、印象論やルポルタージュに留まりがちである点が課題である」と指摘しました。
 会員発表では、今井啓会員が飯田市内の小学校に伝わるトイレや二宮金次郎像の怪談について報告しました。

第4回の講義の様子

入門講座第5回(2017年3月18日)


 テーマは「民俗を活用する現代」。
 福田所長は、柳田の『遠野物語』を核に観光戦略を成功させた遠野市の例などを紹介。博物館展示や介護の分野にも民俗学が利用されている事例を挙げる一方、「マイナスの民俗への視野の拡大や、伝承者を尊重する取り組みが必要になる」と指摘しました。
 会員発表では櫻井弘人会員が、観光化されつつある民俗芸能の現状を報告。「観光客に注目されることが地域の誇りにつながるのならばよいが、それはあくまで伝承者が主体的に考えるべきこと」と見解を述べました。



入門ゼミも講座の各回とあわせて行われ、ゼミ生がそれぞれの調査の中間報告を行い、福田所長およびゼミ仲間から感想やアドバイスを受けました。
2月18日のゼミの様子