総会
会員19人が出席し、研究所規則をはじめとした全ての議題を原案通り承認しました。今年度事業では、11月25日(土)・26日(日)に「伊那民俗研究集会」を開催するほか、「伊那民研叢書3」を発行する予定です。
記念講演会
常光徹・歴民博名誉教授が「民具と俗信」と題して講演。箒、鍋蓋、箕などにまつわる俗信や禁忌の事例を紹介し、日本人の悪霊観念などとの関連を指摘しました。
民具にかかわる俗信・禁忌・習俗の例
- 箒=「箒はお産の神様である」「箒を逆さに立てると安産になる」「死者のそばには箒を逆さに立てておく」「長居の客を帰すには、客の見えない所に箒を逆さに立てるとよい」など
- 鍋蓋=「鍋蓋の上でものを切るな」「鍋に蓋をしないまま煮炊きをするな」「瀕死の産児は鍋蓋であおぐと生き返る」など
- 鍋=「鍋づるの間からやり取りするな」「赤ん坊は鍋づるをくぐらせると丈夫になる」など
- 鍋墨=「鍋墨で額に×印を描くと魔除けになる」など
- 箕=「子どもが不意の熱を出したら箕であおぐとよい」「花嫁が婚家に入るときに頭に箕と枡をかぶせる真似をする」など
常光徹名誉教授 |
会員研究発表会
総会にあわせた会員発表は昨年からの取り組みです。
まず、片桐みどり会員が「子どもの遊びについて」をテーマに発表。旧飯田町を中心に子どもの遊びを調査した結果に基づき、遊びの空間や内容、戦時下の疎開などに着目して、当時の子どもたちの姿を浮き彫りにしました。
片桐会員 |
続く岡庭圭祐会員の発表テーマは「遠山郷上村におけるメデタ(祝い唄)習俗と婚礼」。
飯田市上村における婚礼で「メデタ」「かのた」「端唄」などの祝い唄が大きな存在を占めていたこと、近年は婚礼の変化によってその伝承も難しくなっていることを報告しました。
岡庭会員 |