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2024年5月26日(日)に2024年度の総会と記念講演会および研究発表会を美博講堂で行います。

2015年2月16日月曜日

【報告】第Ⅲ期入門講座第4回

 第Ⅲ期入門講座の第4回は2月15日(日)に開催し、26人が聴講しました。松上清志会員が「水野都沚生-下層の人々への思い」、福田所長が「折口信夫の民俗学-直感から仮説へ―」と題して講義を行いました。

 水野都沚生(としお、1910~1973)氏は飯田市追手町の出身。國學院大學で折口信夫に師事し、大阪毎日新聞社などに勤務したのち、戦時中は満州にて兵役。復員後は故郷飯田に帰り、地元の新聞社や高校に勤めるかたわら昭和32年ころから民俗調査に取り組みました。
 下伊那南部の「おじろく・おばサ」、高森の猿回し芸能、飯田の瞽女などについて多くの貴重な報告を行い、「飯田文化財の会」の発足と運営にも尽力しました。
 松上会員は「霜月神楽などの有名な芸能ではなく、忘れ去られようとしている小さな芸能、社会の中で差別されているような最下層の人々に光を当てた」とその業績を紹介しました。

 一方、福田所長は、折口信夫(1887~1953)が雑誌『郷土研究』に初めて投稿した論文「髯篭(ひげこ)の話」(1915)にまつわるエピソードを通じて、柳田国男と折口の師弟関係は当初から緊張感に満ちたものであったことを解説。
 よく知られている「依代」という用語は折口の造語でありながら、現在は折口が使用した本来の意味とは異なって使われていることを指摘しました。
 また、ひとつの直感から仮説を立てて論を広げていくのが折口のスタイルではあるものの、地域で自立した調査研究を行うことの必要性を指摘(「地方に居て試みた民俗研究の方法」1935)している点が注目されると評価しました。

■第5回は以下のスケジュールで開催します。

3月15日(日) 柳田国男館 
18:00~18:30「松山義雄-孤高の山国ロマン」今井啓
18:30~19:30「中山太郎-文字の世界へ」福田アジオ