2021年1月16日に行われた小川所長の折口講座「「田遊び祭りの概念」を読む」は、新型コロナ感染拡大によりZoom会議形式で実施し、事前に申し込んだ会員8名がリアルタイムで聴講しました。
講義要旨
この論文は1929年(昭和4)に『民俗芸術』で発表された。折口の田楽研究ではごく初期のものながら、田楽に関連する歴史的・文献的な部分はすでに押さえている。一方で、田遊びと囃子田の区別がついていないなど、粗削りな面も否めない。
折口は「田楽には念仏の要素が多分にある」と指摘している。その根拠をここでははっきりと示していないが、田舞や田楽に多く登場する花笠などは念仏系芸能にも多く、これをどう解釈するかが一つのポイントといえる。
折口の田楽理解には新野の雪祭りや西浦の田楽が深く影響している。折口の文章の背景には必ず文献や民俗採訪で得た知識があるので、彼の年譜や行動をたどりながら見ていく必要がある。