松上清志会員「清内路集落の水事情」
発表要旨同じ清内路地区の中でも、下清内路と上清内路では上水道普及以前の水事情は大きく異なっていた。上清内路は水を引いてくるのに都合のよい沢に恵まれ、現在も多くの家で活用している。引いてきた水を受ける水槽は土砂を沈殿させるために2段式になっているのが特徴的である。
一方、下清内路は斜面台地上に立地し、近くの沢は谷が深い。そのため共同の筧樋用水は長い距離が必要で、開設には断崖を掘るなどの苦労もあった。樋はサワラの木をくりぬいたもので、接続部分からの漏水も多かった。
下清内路は各家が井戸を掘り、現在もそれが残っている。つるべ縄にはごみが落ちないようにヤマブドウでなった縄を用いるなどの工夫もされていた。
こうした水事情の違いにより、簡易水道の設置時期も下清内路が昭和30年、上清内路が同52年と大きな開きがあった。
次回ミーティングは7月25日(土)15:00~、発表は今井啓会員「疫神送りについて」、岡田正彦会員「飯沼の歴史―原始から中世―」(調査部会)です。