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2019年1月19日土曜日

小川所長の特別例会「鬼の話を読む」を開催しました

 小川所長による特別例会「折口信夫を読み解く」第2回が1月12日、柳田館書斎で開かれ、約30人が参加しました。
 今回のテキストは1926(大正15)年の講演筆記「鬼の話」です。
 このなかで折口は、古代日本人の神観念にはカミ、タマ、モノ、オニの4つがあるとし、オニは人々に祝福を与える来訪神と、調伏される精霊という相反する二つの性格を内在していると述べています。
 折口のいわゆる「まれびと」論は万葉集の東歌から着想され、沖縄の神事芸能や奥三河の花祭、新野の雪祭などの調査を通じて発展していきました。
 折口は「鬼の話」のなかで、日本人が海から内陸へと居住地を広げるにつれ、「常世」のありかも海の彼方から山の彼方へと変化したことで、カミとオニの境界が曖昧になったのだと説明しています。


 小川所長は、「鬼の話」にさりげなく登場する言葉を一つずつ取り上げ、折口が論拠として想定していた古典知識や芸能、民俗事象について解説。
 一方で、オニの語源は漢語の「隠(オン)」に由来するとの説も有力であることから、折口の「カミ・タマ・モノ・オニ」の4分類は現代の研究者にとって不都合であること、折口は同じテーマを生涯にわたって考え続けるため年代によって論が変化し、どれを彼の説としてとらえればいいのか分かりづらいという批判もあり、鬼についての考え方も例外でないことなどを指摘しました。