宮田村出身の向山雅重氏(1904~1990)は、長野県内を中心に精力的な民俗調査を行い、その膨大な成果を地元雑誌などに発表し続けました。
寺田会員は生前の向山氏と身近に接した立場から、「調査の場所や人を選ぶ必要はない、熱意を示せば皆腹を割って教えてくれる」という向山流の研究姿勢を紹介し、「向山先生が残した資料は伊那谷民俗学の古典。全国的に見てもこれほど調査を行った人は少ないのではないか」とその業績を振り返りました。
福田所長は、型破りなスタイルと博覧強記で知られた南方熊楠が日本民俗学の形成に与えた役割について解説。柳田国男は南方と頻繁に手紙を交換することでヨーロッパにおけるフォークロアを学びみずからの理論形成に役立てたこと、一方で南方ならではの世界的視野や猥雑な事象については否定的な立場を貫いたことなどを説明しました。
また、南方の論文そのものはデータの洪水であり、そこから彼独自の学説らしきものも読み取れないため、学問的には顧みられることがほとんどない、と指摘しました。
講座第4回は 2月15日(日)に開催します。
講座の直前に行われているゼミとの関係から、研究所会員による発表を先に行います。
18:00~18:30「水野都沚生-下層の人々への思い」松上清志
18:30~19:30「折口信夫-直感から仮説へ」福田アジオ